ソーシャルスキル

ソーシャルスキルとは?

ソーシャルスキルとは

ソーシャルスキルとは、人間関係や集団行動を上手に営んでいくための能力です。例えば、挨拶をしたり、会話をしたり、冗談を言って場を和ませたりすることで人付き合いを円滑に進めようとする力です。
幼児期や学齢期に子どもが学ぶべきソーシャルスキルには、「学習に向かう力(話を聞く、話す、書くなど)」、「コミュニケーション」、「人間関係」、「身の回りの整理整頓や管理」、「感情のコントロール」に関するスキルなどがあります。

集団行動や人間関係をうまく営むために必要なソーシャルスキルが上手く身につかず、社会生活でつまずいてしまう子どもが増えています。
こうした子どもたちにソーシャルスキルトレーニングを行うことでスムーズに社会生活を送ることができるようになります。


ソーシャルスキルに困難がある子どもたちについて

ソーシャルスキルに困難がある子どもたちについて

発達障害は、障害としてはすぐに目立たない「見えない障害」という特徴と、できることとできないことが「混在する」特徴を持っています。学習のつまずきだけでなく、対人的な付き合い方にも遅れや困難を持ちます。
子どもたちが社会で自立をしていけるよう、個々の問題に周囲の大人が早く気づき、子どもが必要な支援を行っていく必要があります。
ソーシャルスキルで困難がある子どもたちは大きくは以下の6つに分けられます。

 

①理解することや判断することが苦手な子
知的に遅れのある子どもたちは、理解力や判断力、自分の考えを伝える力に弱さがあります。
集団行動や人間関係において、周りの状況を把握することが困難であり、自分の考えをまとめて表現することも難しいです。
例えば、授業についていけなかったり、お友達との会話についていけなかったりします。
 
②認知能力がアンバランスな子
得意不得意の差が大きいこと、記憶力や言語能力、視覚的能力などに部分的な弱さがあり、学習につまずいてしまいます。
口頭言語(話す・聞く)面に弱さがある子どもは、コミュニケーション面でつまずきやすいと言われています。
 
➂行動コントロールに困難がある子
頭では理解しているのに行動抑制が利かず、じっとしていられなかったり、突発的な行動をとってしまったりして周囲から問題児扱いされやすいです。

④コミュニケーションや切り替えが苦手な子
人の気持ちを察することができず、相手の気持ちを汲み取ることが苦手なため、コミュニケーションがうまくとれないのが特徴です。
また、こだわりも強く、他の方法や考えを受け入れられないため、考えや行動の切り替えがなかなかできません。
例えば、予定変更や切り替えに対応できなかったり、他者の気持ちがわからなかったりします。
 
⑤運動面に不器用さがある子
運動面の不器用さがあるため、ボール遊びに加われなかったり体育の授業で劣等感をもちやすくなったりします。また、模倣運動も苦手なことが多く、ダンスや演技などの動きがなかなか覚えられなかったりします。例えば、学校の体育や音楽の授業で運動遊びの輪に入れず、不器用さのために楽器演奏が苦手で困難を感じます。
 
⑥情緒面に不安定さがある子
家庭環境の問題などがあり、情緒不安定になっている子どもも発達障害と似た不適応行動が見られます。集団行動や人間関係につまずきやすいです。
トラウマ、愛着障害(虐待や育児放棄等により親から十分な愛情を得られず、人間不信になったり、寂しさから他人に依存したりする障害)、家庭の問題から自己否定感、無気力、対人不安、対人緊張など精神的に困難を抱えます。


ソーシャルスキル指導方法

ソーシャルスキル指導方法

ソーシャルスキルを身に付けるために5つの指導方法があります。

①教示
言葉や絵カードなどを用いて直接教えます。
これは、話を聞くことが苦手な子に対して視覚的に伝えることができるため効果的です。
例えば、片付けが苦手な子がいるとします。「片付けなさい」、「綺麗にしなさい」、と言われても「どのように片付ければよいのか」分からないため、片付けられないことがあります。そこで、綺麗な状態の写真を提示してあげることにより、子どもが「この写真と同じように片付ければいいのか」と思うことができスムーズに整理整頓ができます。また物事の優先順位(例えば、家に帰ってきてから等)が分からず行動できない子に対しては、ホワイトボードに絵や言葉を提示してあげることで行動しやすくなったりします。

②モデリング
指導者や友達の手本となる振る舞いを見せて学ばせます。
感情のコントロールが苦手で場面に合った適切な行動や言動ができない子に対して効果的です。例えば、何をして遊ぼうかという話し合いの場面で「鬼ごっこ」という意見がでたとします。走ることが嫌いな子が「やだやだ!鬼ごっこなんてやらない!」と怒っている場面を示します。子どもにはどこに問題があったのか、どのような言い方がよいのか、一緒に考えます。結果的に「私は走るのが苦手だから、部屋の中で遊べる遊びがいいな」というように自分の感情に沿って上手に意見を言えるようにします。
 
➂リハーサル
模擬場面などで実際にやってみます(ロールプレイング)。
教示やモデリングで指導したことを実際にやらせてみます。頭で理解していても、実際の場面でできなければ定着化されず意味がないものになってしまうからです。例えば、教示で例を挙げた「片付け」についてですが、写真を見せながら「やってごらん」と促します。子どもがその写真を見て片付けることができれば、それを習慣化することにより整理整頓が身につきます。
 
④フィードバック
行動を振り返り、ほめたり修正を求めたりします。 その子が取った行動に対して評価をしていくことで、良い方向へ動機付けしていきます。片付けが写真通りにできたら「写真通りに片付けられたね。えらい!」などと具体的に褒めていくことが大切です。ただ、「すごいね!」、「えらい!」だけでは「何が凄いのか、えらいのか」子どもに伝わりづらいからです。また、上手にできたときにシールを貼って視覚化すると、自分の行動によって特権(シールもらえる)が得られることにより、次も「やろう!」という気持ちが芽生える場合もあります。子どもは褒められると自信を持つことができ自己肯定感を育みやすくなります。
一つ一つの良い行動に対して、褒めていくよう心掛けていきましょう。
 
⑤般化
どのような場面(時、場所、人にかかわらず)でもできるようにします。
上記の①~④を家庭で行ったとします。家の中でできたとしても学校やその他の場所でもできるようにならなければ習慣化させることができません。習慣化させることによって、社会的自立に向かうことができます。そのためには外部の指導者との連携が必要になってきます。生活でどんなことに困っているのか、何を学び、取り組ませているのか等の情報を共有し、より適切な支援指導を行っていくことが必要です。 決して一人では抱え込まず、学校の先生や関係機関に相談して、子どもの特徴を受け入れ成長を見守っていく環境をつくっていくことが大切です。
江戸川区では、発達障害相談センター・発達相談室「なないろ」という相談機関があります。発達障害(またはその疑い)のある方とそのご家族、支援者などからの様々な相談をお受けするとともに、ライフステージに応じて、相談や適切な支援が途切れないように、関係機関と連携していける機関となっています。

☆発達障害相談センター・発達相談室「なないろ」のHP
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/kenko/shogaisha/
hattatushogai/hattatusyougai_nanairo.html


まとめ

ソーシャルスキルは社会生活を営んでいく上で重要な技能ですが、苦手でも悲観的になる必要はありません。ソーシャルスキル指導を通して、一人ひとりが自分に合った人付き合いの仕方、集団参加のスタイルを見つけて自立を目指していくことが一番大切です。

参考:特別支援教育をサポートするソーシャルスキルとレーニング(SST)実例集/ナツメ社/上野一彦,岡田智,森村美和子,中村敏秀

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